おすすめの一冊

2016.11.21
小惑星探査機 はやぶさの大冒険

教員名:

2010年6月13日、22時51分(日本時間)に大気圏に再突入した「はやぶさ」は上空約70㎞で華々しい最後をとげた。
思えば小惑星探査機「はやぶさ」が内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられたのは、2003年5月9日だった。それから7年間にわたる大宇宙航海を経て地球に戻ってきた。この7年間の記録が見事にこの1冊の本になっている。
とくに注目されるのは、2005年11月14日に燃料漏れによって姿勢が安定せず、通信も途絶し、絶望的な状況に陥った。それでも46日ぶりに「はやぶさ」からの微弱信号を受信し、それから3ヶ月ぶりに奇跡的に復活させた活動の記録がおもしろい。米科学誌(サイエンス)も「イトカワ」特集で、復活を支えた日本科学者の技術と英知を絶賛している。小惑星「イトカワ」を目指してサンプルリターン計画を実現させたはやぶさ1号の物語は、現在でも心がふるえる科学物語である。
是非皆さんに読んでもらいたい。映画化もされたが、山根氏の文章は素晴らしい。リアリティがあり、科学とはこういうものかと感動するに違いない。今、これらの経験を生かしたはやぶさ2号が打ち上げられ活躍している。