おすすめの一冊

2017.01.20
母性の心理社会的側面と看護ケア

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おすすめの一冊は1990年に医学書院から発刊された新道幸恵,和田サヨ子著「母性の心理社会的側面と看護ケア」です。私は第1子を出産のときに、陣痛をうまく乗り切れずギブアップして帝王切開となりました。回旋異常があったとは言え、失敗感と自責の気持ちが強く、その後、親としての自信が持てないままでした。病院で看護研究メンバーとなり、文献としてこの本の「帝王切開分娩による喪失体験」を読んだとき、とめどもなく涙が流れとまらなくなりました。なぜ、自分は出産を失敗と思っているのか、何故親としてこんなにも自信が持てないのか、すべて解明してもらい、それまでのわだかまりや心の重荷が消えていくようでした。本に人生を救われたという初めての体験でした。
この本には否定的な妊娠・分娩体験は、親役割取得過程に重大な負の影響を与えることや、産後の女性の心理的なプロセス、そして看護・助産ケアはどうあったら良いのか多数の文献などをもとに書かれています。今では、こうした妊産褥婦の心理は母性看護の教科書にあたりまえのように記載されるようになり、看護・助産ケアの基本となっています。