おすすめの一冊

2018.03.20
子どもを育てない親、親が育てない子ども

妊婦健診を十分に受けずに出産に至った女性たち、それは未受診妊婦や飛び込み分娩などと呼ばれ、医療の現場ではハイリスクとして扱われる。
著者は丁寧な聞き取り調査によりその彼女たちの背景に迫った。見えなかったものが見えてきた。そして、著者は言う。「『支援』とは何か」と。
なぜ、「支援」は届かないのか。なぜ、「支援」を利用できないのか。なぜ、「支援」は続かないのかと…。そしてそもそも「支援」とは何か。著者は自身の体験も踏まえ、「同じ景色を見る」という言葉で、「支援」の在り方を語っている。「支援」する側・される側、それは「評価」する側・される側ともなり、両者の立場を大きく分け隔てる。同じ景色を見た者は、「自分が何をすべきか」で判断し行動するという。ふと立ち止まり考えるよい機会になる1冊となった。