おすすめの一冊

2019.03.20
キング看護理論

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キング看護理論は1985年に日本語に翻訳された。34年前、私は訳者杉森みど里先生から「これを読んでほしい」と、膨大な校正原稿を手渡された。これがキング看護理論と私の出会いである。その意図も理解しないままお引き受けし、読み進め、日本語の難解な部分の修正案を提示したりしながら最後まで読み通した。

その後、筆者は大学院に進学し、必修科目「看護理論」を履修した。その授業は、大学院生がその興味関心に基づき、看護理論を選択し、自己学習の成果を発表し討議する形式で進められた。私は「一回は完全に読んだ」、ただそれだけの理由によりキング看護理論を選択した。そして、学習成果の発表と討議を通し、キング看護理論を完全に理解できたような感覚を得ていた。

大学院修了後、ある雑誌への「キング看護理論」の紹介原稿執筆を契機に「キング看護理論」に関して、多くの原稿執筆や看護理論に関する講義の機会を得るようになった。そのたびに、「キング看護理論」や「理論」に関する学習を反復し、大学院時代に「理解できた」と思ったのは、私のとんでもない思い上がりであったと痛感した。それと同時に、一つの事象を理解するために何をどのように学ぶ必要があるのか、理解するということがどのようなことなのかを学習した。この学習成果は私の職業活動の根幹となっている。

本書の訳者杉森先生とキング博士は友人でもあり、私も両者の個人的な交流に参加させていただいた。それを通して、この偉大な理論の背景にキング博士の看護師の仕事への誇りと熱意、弛まぬ学習とその継続が存在することを実感した。キング看護理論は、看護師として生きている私の人生を豊かにしてくれたかけがいのない一冊である。