「共感」とは言うものの、厳密に相手と同じ気持ち、同じ感じ方を完全に体感することは、現在の科学技術ではまだ困難です。ゆえに私は、情報に加え、自分の持つ感性、想像力や教養等も駆使し、わかりたい、という思いでその方の立場に立って考えることを大切にしています。
この本は認知症の方々が世界をどう感じているのかを楽しく教えてくれます。自分の想像が及ばなかったことも、そうなんだ！と新鮮に知ることができます。
また、看護者としても援助のヒントが詰まっています。読んでみると、認知症の方への認識や接し方が変わるのではないでしょうか。
大切なのは、認知症の方は「別の世界」に生きているわけではないということです。
住んでいるのは同じ世界です。どうかご自分の世界と切り離さず、認知症を持つ方々と共に幸せに生きるためには・・・と考え続けていってほしいのです。特に看護学を専攻する皆さんには、本書はその一助となるでしょう。