現役の精神科医による書であり、人間の精神がどのようにして病むか、診断・治療者として関わった実例について、その経過を詳細に示しています。著者は、「ちょっとした心の狂いが契機になって精神全体が蝕まれてしまうことがあり、中には殺人という取り返しのつかない行動に繋がることもある。しかし、正常な精神と狂気の境目はごく淡く、我々が生きている社会は、様々な精神疾患と共にある」と述べています。精神障害の予防策を著したものではありませんが、実例を通して読者の自己客観視を促し、生き方・あり方を考えることができます。